きりんの足をした像

きりんの足をした像

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僕には、小学生の頃から何度も見ている夢がある。
その夢には、ちゃんとストーリーがあって
しかも、見るたびに少しずつストーリーが進んでいる。

何日か続けてその夢を見ることもあれば
何ヶ月か忘れていて、ある日、突然、続きを見ることもある。

その夢は、まるでテレビドラマのように
ちゃんと前回見た最後の方から始まって
その続きから少しずつ話が進んでいく。

時には最初から始まることもある。

僕が自宅の2階で遊んでいると、下の方で物音がする。
階段を途中まで下りて見てみると
お母さんが「かまきり」の様な姿をした宇宙人に何かをされて
「かまきり星人」に変身させられていたところだった。

そして今度は、お母さんがお父さんや妹を順々に攻撃して
家族中が「かまきり星人」になっていくのだった。

僕は恐ろしくなって、2階の窓から逃げ出し
屋根から外の倉庫の上に飛び降りて、友人に助けを求めに行くという物語だ。

しかし、夢の中は矛盾だらけで
今いる場所や、時間、一緒にいる人などが、勝手にどんどん変わっていく。
そして、シチュエーションも物語の進行と関係なく
お構いなしにどんどん変わっていくのだ。

普通ならば、こんな時、きっとあわてふためくのだろうけれど
夢の中の僕は、それらのことが矛盾しているように思えず
物語はスタスタと先へ進んでいくのだった。

僕は子どもながらに
「夢の中のおかしなことに気がつかないのはよくないことだ!」
「それは、きっと現実の世界でも起こってしまって
大事なことに気がつかなかったりするんじゃないか」
「これはいけないことだ、直さなきゃいけない」と思っていて
いつも夢の中の矛盾に打ち勝とうと考えていた。

そして、いろいろ考えた末に、夢だということが分かったとき
その登場人物に
「これは夢だ!」と言ったり
矛盾していることがあったとき
「それは違うぞ!」と指摘してやろうと思った。

それで、それを意識して
「夢に騙されないぞ!」と思ってから寝るようにしていた。
そうすると、だんだん夢が夢だと分かったり
夢の中の矛盾に気がつくようになってきた。
この時には、凄い精神力が必要である。


例えば、道をあるいていると目の前に像がいるが、
足を見るときりんの足がついていたりする。


普通、夢の中だと、そんなことは何の矛盾も感じずに流れていくものだが
その時は、それがおかしいと感じて、これは夢だと認識し
「これは夢だ」と言ってやると
相手は困った顔もせず「よくわかったねぇ」とすまし顔で答えてくる。

僕は上機嫌になって「へへへ、僕は偉いなぁ」
なんて思っていると

次の瞬間には、僕は赤いスポーツカーに乗っていて
「夢だって分かっちゃったもんねぇ~」と言いながら
手を振って走り去っていくのだ。


せっかく夢を夢と認識できたのもつかの間
また、僕は夢の中に引きずり込まれていくのだった。
なかなか夢に、勝ち続けることはできない。

しかし、毎日そんなことをしているとだんだん打ち勝つことが多くなってきた。
夢だと気がついたときに、2つの遊び方がある。

「指摘して相手の様子を見る」のと、せっかく夢なのだから
「思いきりむちゃをして、普段できないことをどんどんやる」というものだ。
「普段できないことをどんどんやる」のは、なかなか面白いものだった。

だけど、打ち勝つことをやり続けたのがよくなかったのか
それから何年間かは、めったに夢を見ないようになり
例の「かまきり星人」の話も止まったままだった。

それはそれで、つまらないし、また、凄く疲れるし。
もう僕は夢に打ち勝つことをあまり考えないようにしていた。

先日、20年ぶりに「かまきり星人」の夢を見た。
超久しぶりだったので、凄く懐かしかったが
夢の中では、相変わらず街中「かまきり星人」だらけで
家族や友人などもみんな、直立型の人間的な「かまきり星人」だった。

矛盾だらけの夢と、その夢を客観的に見ている自分がいる。
そんなことを思いながら、先日公開された映画「マトリックス」を見ると
とても、共感することが多く、凄く面白かった。


今、現実の世界でも、この夢と同じようなことが起こっているかもしれない。

例えば、常識的に考えると全くおかしいことが
自分では不思議と思えなかったり

おかしなことが目の前で起こっていても
それに気が付いていないんじゃないかと思う。


僕の目の前を、「きりんの足をした像」が歩いているのに
僕はそれに気がつかない。

そんな事が起こっているかも知れない。


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覚田義明コラムについて

このコラムは、僕(覚田義明)が1999年、34才の時に書いたモノです。

会社を設立して4年目の行き詰まった時、その時の自分の思いをまとめて

おこうと思い書いていました。

友人達に毎朝送っていたメールマガジン「ふくおかTODAY」に掲載して

いた「コラム」で、僕の考え方や物の見方、また様々なものに対しての感想を

書いています。

毎週1本のペースで書いていき、全部で64本になっていました。

それらを、今回2011年に少し修正して記載しています。

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