ダブルクリック

ダブルクリック

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エレベータに乗って、行きたい階のボタンを押す。
すると、ボタンが光って、その階が指定されたことが分かる
ようになっている。

まちがって違う階を押してしまったとき
それを解除することはできなかった。

しかし、最新のエレベーターには
これを解除する機能がついている。

間違って押してしまって点灯しているボタンを
2回トントンとノックするように押す。
もしくは、2秒ぐらい長押しする。

すると、ボタンは消灯し、解除されたことがわかる。

最近、このような操作方法が増えてきた。
今までのボタンは、押すことで、ひとつの機能しか働かなかった。

昔は、機能を増やすためにはボタンを増やすしかなかったので
「ボタン戦争」と呼ばれていた。

しかし最近では、ひとつのボタンをいろいろな方法で操作することによって
さまざまな機能が使えるようになってきた。

たとえば、ビデオデッキ。
再生中に早送りボタンを押し続けると、再生しながら早送りができる。
さらに、2回押すと、押し続けていなくても早送りを続けることができる。

また、CDプレーヤーでは、次曲ボタンを1回押すと次の曲に飛ぶが
そのボタンを押し続けたままにすると早送り機能となる。

昔のCDプレーヤーには、次曲ボタンと早送りボタンの両方が付いてたが
最近は、そのような操作ができるようになったので
ボタンの数が半分に減った。

・昔の操作パネル:[|<][<<][>][>>][>|][□][||]
・今の操作パネル:[|<<][>>|][□][>||]

一時停止ボタンも別についていたが、最近は、再生ボタンと一緒になった。
多機能なまま、ボタンを減らすことができたのだ。

また、以前は、ビデオデッキからテープを取り出すとき
ビデオデッキの電源を入れて取り出しボタンを押し、テープを取り出し
再び、電源ボタンを押して消すという操作が必要だった。

しかし、最近のビデオデッキでは、電源が切れていても
取り出しボタンを押すと、自動的に電源が入り、ビデオテープを排出する。
そして、電源は、自動的に切れるというように
1つのボタンを押すことで一連の動作が行われる。

さらに、テープを入れると自動的に電源が入ったり
携帯電話の「切る」ボタンを3秒以上押すと、電源が入ったりする機能も
そのひとつだ。

これらの操作方法は、ユーザインターフェースの進化といえる。
今までの「人間が座りやすい」とか「圧迫感を感じない」という
「人間工学」が更に1歩進んで、「快適性」とか「操作性」という方面に
進化した技術である。

また、これらの操作方法の場合、ボタンなどに絵や文字や記号を使うこと
から「GUI(グラフィックユーザインターフェース)」と呼ばれている。

これらの技術を真っ先に取り入れたのが、アップル社だ。

普段の生活と同じ、人差し指で指示をする要領で、コンピュータを操作
できればと考え、「マウス」での操作を取り入れたのだ。

指でものを指す動作の「クリック」。ボタンを押したままの「プレス」。
中を見る開ける意味で、ドアをノックする動作の「ダブルクリック」。
押したまま動かす「ドラッグ」など、ひとつのボタンで色々な操作が行える
ように考えられた。

更に、日常と同じように、パソコンの画面を机の上とし
そこには、引き出しがあったり、ごみ箱があったり、ファイルが書類が
置かれていたりなど、、、。

そういった操作方法やGUIを1980年ごろにアップル社が製品化したのだ。

1987年に、僕がアップル社のマッキントッシュと出会ったころ
マッキントッシュを使ってこの研究をしているチームがあった。

画面上にビデオデッキなどの操作パネルの絵を描いて
それを指で押す代わりにマウスで指示をし、操作性のテストを行っていた。

少ないボタンでたくさんの操作を行えるようにするために
シミュレーションをしていたのだ。

今では、この技術が、ビデオデッキやCDプレーヤーなどの電気製品にも
利用され、いろんな操作が分かりやすく、また、使いやすくなった。

僕は、きっとエレベータにもいつかこの技術が使われるだろうと思い
新しいエレベーターを見ると、トントン、トントンとダブルクリックして
試していた。

そして、ある日、あるエレベーターがその機能を持っていた。

今後、このような1つのボタンで、複数の指示が行える操作方法が
いろんなものに応用され、どんどん身近になってくるだろう。

機能の追加は、ハードの変更なしにソフトの入れ替えだけですむので
知らないうちに組み込まれていくにちがいない。

だから、機器の追加やパーツの変更なしに機能が増えてくるということが
起こる可能性がある。

そして、更にネットワークでつながっていれば
勝手にその機能を追加することができる。

自分の携帯電話や電気機器に、自分の知らない間に新機能が付いていたり
なんだかとても楽しいことが起こりそうな気がする。

そして、それらは突然やってくる。

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余談だが、開発者がユーザーに秘密で、こっそりと機能を入れておくことを
「イースターエッグ」という。

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覚田義明コラムについて
このコラムは、僕(覚田義明)が1999年、34才の時に書いたモノです。
会社を設立して4年目の行き詰まった時、その時の自分の思いをまとめて
おこうと思い書いていました。
友人達に毎朝送っていたメールマガジン「ふくおかTODAY」に掲載して
いた「コラム」で、僕の考え方や物の見方、また様々なものに対しての感想を
書いています。
毎週1本のペースで書いていき、全部で64本になっていました。
それらを、今回2011年に少し修正して記載しています。
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